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2012/06/15

ニコチン依存症からの脱出

1970年当時


喫煙歴を振り返る。20歳になった節目として始めた。手を出しやすい環境もあった。下宿の同級生は年齢が二つほど上でもあり、それなりの手ほどきもも受けた。

最初は煙いし旨くないが、意地もあり、部屋の中で練習をした。その当時の医学部の教室の後ろには灰皿が置いてあり、授業が始まる前や休憩時間に数人が喫煙していた中に入って、喫煙デビューをした。

それから5年


そのまま卒業し、保健所では、茶碗と灰皿は持参することになっていた。灰皿は机の上と診察室にも置き、診察の合間どころか、診察中にも喫煙していた。先輩の先生も喫煙者だったし、そもそも酒と煙草は大人の社交ルールとして定着しており、酒や煙草をたしなめない男は変わり者として扱われていた時代だった。

電車の中は禁煙だったが、汽車は平塚を過ぎると喫煙ができたし、会議の準備として灰皿をテーブルの上に置くことが、応接室には灰皿を置くことが、人をもてなす礼儀の一つになっていた。

鮮明に覚えているのは、高血圧の患者さんに指導する際には喫煙指導をしたが、それを喫煙しながら指導していたことだ。若干の違和感を覚え、公私のけじめと妙な論理構成をしていた。

その当時の喫煙の害は肺癌のリスク因子として定着していたが、禁煙効果が出て肺癌リスクから回避できるのは禁煙5年後からという理解だったが、徐々に喫煙の害が医療の現場で定着し、禁煙する医師が増えだした頃でもあった。

結核研究所で肺がん研修を受けた際の講師が禁煙中でポケットの中には煙草を入れているのは、いづでも吸えるという安心感と貰い煙草をする下品さを避けるためと、講義していたのも懐かしい思い出だ。

 1980年当時


厚生省の中でも喫煙フリーから会議中の禁煙が最初に導入された。その後、執務室内の禁煙が行われたものの、某局長室内は暗黙の喫煙室になっていた。喫煙フリーなのは喫茶店と居酒屋。喫煙できない喫茶店など想像さえできなかった時代だった。

米国に出張した折りの機内は喫煙可能だった、飛行場からバスに乗車して、灰皿があるのを確認し喫煙したら、同乗の米国人が迷惑そうに手で煙を払う仕草をしたので、一本のみで我慢した。米国出張中でも喫煙を我慢する状況はその後一切無かった記憶がある。

1990年当時


ニコレットが出始めの頃だが、医師の処方箋が無ければ入手できず、ひと月分で5万円前後していた。同級生が開業していたので処方してもらったが、彼曰く、何度となくニコレットで禁煙に挑戦しているが、いつも失敗する。それでもニコレットで禁煙している期間だけ煙草は吸っていないので、喫煙の害は少なくなる。ニコレットはいいものだと言っていたのが思い出される。

2000年当時


ニコレットが医師の処方箋が無くても自由に買えるようになり、何度となく挑戦したが、数ヶ月で失敗の繰り返しだった。その当時はパーラメントワンを一日60本吸っていたが、そのコストよりもニコレットの方が若干高かったのも、ニコレットが継続できなかった理由かもしれない。

それから5年


東北新幹線の全車両禁煙から始まったものの、東海道新幹線は喫煙車両が残っていたり、禁煙タクシーは乗る前に確認できるように表示してないと喫煙者とトラブルを起こす時代でもあったが、そんな経過期間を経て、路上喫煙や海水浴場などの屋外までも禁止になってきた。

職として公衆衛生に再度従事することになったこともあり、覚悟を決め、ニコチン依存症は治すつもりは無いが禁煙をするために、ニコレットを使い始めた。長期にわたる利用になるので、コストが煙草よりも安くなる個人輸入でニコトロールというニコチンガムにした。

2012年


ニコトロール服用直後は、2mg錠10タブレット前後だったのが、5年後のいまは4mg錠20タブレット近くになり、異常服用による人体実験的様相の怖さとニコチンによる心血管系リスクも高いこともあり、禁煙療法と条件反射制御法よろしく脱ニコチン依存症をチャンピックスによる保険診療を受けることにした。

脱ニコチン依存から3週間経過。すこぶる順調な展開


第一週目は、最初の3日間はチャンピックス0.5mg、次の4日間は0.5mgを朝夕2回。チャンピックスのユニークなのは、煙草(ニコレット)を自由に好きなだけ吸えることだ。私はいつものように使用しようとしたが、味が違うので途中で捨てることが多くなったが、使用量は変わらなかった。

第二週目は、チャンピックス1mgを朝夕服用開始。禁煙(禁ニコレット)も開始する。脱ニコチン症状は頑張って止めるときと比較すると極めて軽いが、3日間ほど続くが、その後は吸いたくなったときには深呼吸で吸った気にして楽に過ごせる。

第三週目は、酒を飲んだとき、目覚めのコーヒーを飲むときなどにトリガーが発露されるのを耐える。耐えるのが面倒なので、歯磨きガムで対処することにした。かなり楽になる。

第四週目は、歯磨きガムの代わりにNOTIMEを使うが、噛みごたえが柔らかく、全くもって使えない。このあたりは、禁煙する方は、禁煙パイポとか電子タバコで試行錯誤するのだろうか。

追記)2012/07/23


喫煙は成功したようだ。結果的にはチャンピックスは一ヶ月経過し、二ヶ月目に一月分の処方を受けたものの、服薬忘れが多くなり、結果的には服薬中止になった。

酒を飲んだときと朝のコーヒーを飲むときに、ふと煙草を思い出す程度で、禁断症状もなく喫煙願望も消失している。



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